[非模型話] 超軟調現像液POTAのテスト

モノクロフィルム写真/銀塩写真の面白さの一つとして、色んな現像液とフィルムの組み合わせで出て来る絵が露骨に変わるという点がありまして。勿論何故か基本扱いになってるD-76という現像液さえあれば基本的に何でも現像自体は出てくるとはいえ、そうはいってもこういう仕上りああいう仕上りをこういう被写体ああいう被写体に使いたい、そんな事を考えながらパチパチ写真を撮るのは大変ながらまた楽しい物でございます。で、現像液は市販されている物の他にも数限りなく種類があって、さらにその中にはエラく尖った性能の物も御座いまして。

その中でとにかく気になっていたのがPOTA(Phenidone Extended Range Developer フェニドン露出域拡張現像液とでも訳すべき?)つう代物でして。特徴としては微粒子なのと激烈に軟調 (低コントラスト)な事。黒は潰れないし白は飛ばない。ネットで調べると”HDRめいた画”なんて表現をされる事もある程。

何でも元々文献複写用フィルム(超高解像度で微粒子だが複写に不要なグレーが出ず黒と白の超高コントラスト)で一般撮影並の階調を作り出す為に考案された物らしく、じゃあ普通に階調が出る一般撮影用フィルムに使ってみたら凄いんじゃないの?と考えるのが人情で、噂に聞く20段の露光に耐えるを見たい、どうれ折角だしやってみるかの考えの元、試してみた次第でございます。

階調を激烈に出す代償として、フィルム側の露光がタップリである必要があるらしく、公称速度から1段減感してやるのが常道との事。テストしてみた感じ2段減感してもまだまだ平気。T粒子タイプのフィルムとの相性は未テストとはいえ、あんまり良くないようなイメージがあります。

POTAの処方は以下の通り:

水 (85℃) 750 ml
無水亜硫酸ナトリウム 30 g
フェニドン 1.5 g
水を加えて総量 1000 ml

tokyo-photo.net | http://darkroom.tokyo/?page_id=3293

無水亜硫酸ナトリウムはヨドバシやビックでも購入が可能な物の、フェニドンは試薬として入手する必要があるのでご注意。逆に言えばフェニドンさえ入手出来れば、僅か2種類しかケミカルを使用しない上強烈な個性を持つ現像液なので自家処方入門にも良いのではないかしら?

ポイントは水温85度と高い物を要求される事。当然水を250ml弱加えたところで温度は下がりきらない+現像液自体が1時間程度しか保たない事もあり、お湯に薬品を加えて溶かしたら氷をボカボカ投入して20度±1度ぐらいまで温度を下げ、20度の水を注いで量を1Lに合わせ込むと良いかと思う次第。出来あがった液はアンバーというかピンクというか、やや色の付いた物になる筈です。

現像時間は大抵の場合15分程。というか軟調すぎる為、15分程度現像するとそれ以上は濃くならない模様。停止定着水洗乾燥は一般的な現像液と同等で充分。

結果が以下の通り。

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Tel Aviv
Leotax FV, Rollei Sonnar 40mm F2.8HFT, Kodak TRI-X400@ISO200
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Tel Aviv
Leotax FV, Rollei Sonnar 40mm F2.8HFT, Kodak TRI-X400 @ISO200

ご欄の通り超軟調。真夏の中東イスラエルはテルアビブの昼下りという事を考えると驚異的なレベル。粒子が目立つのは現像時の温度が高すぎた為と思われる(30度ぐらいあった)が、それでもこれだけシャドウが粘っているのは驚異的。

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ユリコタイガーさん
Zenza Bronica EC, Zenzanon 80/2.8, Ilford PanF+@ISO25

衝撃受けたのはコレ。元々IlfordのPanF+はとにかくシャドウのネバるフィルムで、それを更にPOTAで処理して出てきたのがこの画。ああこれが、これがHDRめいた画か、という納得感。寧ろ被写体が合成でポンと置かれてるようにすら見えてしまうのがアレな感じ。

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Tel Aviv
Leotax FV, Rollei Sonnar 40mm F2.8HFT, Kodak TRI-X400 @ISO200

白眉はコレ。解像度ヨシ、階調死ぬ程豊富。驚異的なのは等倍拡大した時に画面の右上に写っていれうエアコンの室外機の網目のシャドウが潰れていない事。肉眼で見るのも中々厳しい光をこう捉えられるのは写真の面白さか。ちなみにこの一枚、知人に紙焼きして送ったのですが、4~4.5号相当のフィルタで適正になる程に軟調です。

そんなわけでPOTA、薬品がそろえば意外に簡単、そして市販では中々無いエッヂの立ったキャラクタと非常に面白い。露出だ何だと悩む前に、高速SSが要らないなら三脚立てて眺めに露光してPOTA、細かい所はデュープかプリント時に修正ってのは随分面白いと同時に一つの正解のような気がしてならない。フェニドンを何とか入手して試してみるのはいかがでしょうか?

じゃあ、今日はここまで。