手前モノクロフィルムの現像(120フィルムまで)は自宅でやっておりまして。諸々のケミカルにまみれながらデジタル万歳のこの21世紀に銀塩写真世界の隅の角に小さくしがみついていたり致します。で、およそこの現像というプロセスは全く摩訶不思議な物でして。やれ温度だ時間だ現像液だという諸々のファクターを組み合わせてやれば、ちょっと驚く程に仕上りが変わってしまう。どうにも気難しく、それでいてなんとも愉快な作業であったりします。
ところがこの現像という作業中々に面倒臭い物でして。温度計握って水温に気を使い、タイマーアプリと睨めっこしながら攪拌作業をする。うまい事やったつもりでも現像作業中のわずかな温度変化で狙った通りの仕上がりにならなかったり、あるいはそもそも現像タンクの中にあるリールにフィルムを巻き付ける段階で失敗していたり。生来ものぐさで出来るなら面倒事を避けたい、逃げたい、見ないふりしたいを目標に生きる手前としては時々煩わしさに押し潰さてしまいそうになる事もあるわけで。じゃあ、そこそこその仕上がり(自身が許容できるという意味で)でかつ驚く程、まるでアメリカのテレビショッピングのオーバーリアクションをして猶足りぬ程驚く程に簡単に現像はできない物かとネットを彷徨った挙句、低温静止現像という物に出会いまして。
意外と調べると出てこないので、改めてここに備忘録的に書いておこうと思ったわけです。
手順
- Pre-Soak (前浴?) – 水道水で適当に。タンクの水を三回程入れ変える
- 現像液 – HC-110を1:200に希釈。温度は水道水そのままで良し。タンクに注ぐ。
- そのまま特に攪拌もせずタンクを冷蔵庫にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティング!!
- 適当に6hから12時間程冷蔵庫の中に放置。恐らく液は揺らさない方がいいかと。
- あとは普通の現像と同じく現像液排出→停止→定着→事前水洗→水洗促進材→水洗→水切り→干す
オススメは寝る前にタンク仕込んで起きたら停止工程以降を行うか、登校/出社前に仕込んで帰宅して停止工程以降を進める事。こうするといつの間にやら現像が完了しているわけで、実質セミ自動現像。凄いぞ救いはここにあったんだ。
メリットとしてはまずベラぼうに楽な事。攪拌等々のテクニックも不要、温度管理も不要。液の希釈も1:100 – 1:200の間で適当で結構ともう本当にズボラ人間の為の神の御使いであるかのような許さ。異なる感度で撮影したフィルムを複数放り込んでもまとめて現像が上がるところなんてパライソはここにあったんだハレルヤ!しかもシャドウのディティールが出てくる出てくる、ハイライトは殆んど飛ばないとスキャンかけたりする分には正に至高究極とも言えるべき仕上がりになったりします。逆にデメリットは粒子が若干目立つようになる事と、どうもT粒子フィルムには相性が悪そう、という所かしら。みんなも是非やるといいよ。
じゃあ、今日はここまで。