MODULATION AND WEATHERING(Mig Jimenez,6/16/2011ポストの和訳)

さて現在ウクライナにおりまして、色々と得難い経験をしております。その辺りについても色々と書きたいのですが、そんな事よりフェイスブックでミゲル・ヒメネスがカラーモジュレーションについての記事を書いたよ!とポストしており、拝読した所余りに面白く、又普段思っている事がズバリと書かれていたので、「翻訳してブログに乗っけて良い?勿論権利関係はちゃんと表示するよ」と聞いてみた所、「●●●●(私の実名), please…use eveything that are in my blog for your own use in your blog or other purpouses. I will be happy if my article is useful for you and other people.」と非常に寛大なお許しを頂戴したので和訳した物をここにホイ。ただその前に以下4点+1リンクを良く理解して頂きたし

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ここ数ヶ月の間、私は幾つかの国を旅し、塗装のデモンストレーションを行なってきた。最終グループとなったのはフィンランドと日本の二ヵ。国この二ヵ国において、私はウェザリングについての実験を行なった。つまり、戦車全体にカラーモジュレーション(訳註:以下CMと表記)を用いて塗装した後、車体の半分だけにウェザリングを施すのだ。これによりウェザリングがどのような影響をCMで塗装された下地に及ぼすのが明らかとなり、これを見たモデラー達もその仕組みを理解できるだろう。

これはウェザリングの下地として十分な程に色を誇張した車体の基本色を示す唯一の方法だ。以降一連の写真から見えるように、高いコントラストを持っていた車体色はウェザリング後にはより柔らかな表現となっている。

このトランペッター製E75は12時間前後で仕上がげた。サフ吹き、CM、雨垂れの表現、埃、泥、錆び、チッピング、その他諸々全部含めてだ。今回の作例の主目標は、モデラーに対して少ないステップ数で素敵な結果を得られるテクニックを紹介する事であり、その他の技法はオミットした。ただ一つ絶対に言っておかなくてはいけないのは、これらのやり方は一つの方法に過ぎず、我々はどのような作品を作りたいかによって技法の取捨選択が出来るという事だ。私だって、完成までに数週間から数ヶ月を必要とするような非常に複雑な技法の組合せをする事もあれば、ある時は一日か、或いは一時間で仕上るような短時間で仕上る技法を使う事もあるのだ!!!

そして…何故私がこれら短時間で仕上るような技法を推すのかという事について説明しよう。思うに、モデラー達の大部分は模型に費せる十分な時間を持っていないようだ。つまり、彼等の興味は素敵な作品を短時間で完成させる技法にあるのではないか。別にこれから紹介する方法が全モデラーに対しての絶対的正解である必要は無い。ただ、この方法は時間を節約し、何か作品を可及的速やかに完成させたいモデラーに対しての一つの方法である。

これがパリでの実演で仕上げたE75である。

二時間前後で全体にCM塗装をした

キットの片方にのみウェザリングを行なった。CMのハイコントラストな仕上りが、どれだけウェザリングにより柔らかくなったかに注目して欲しい。

CMはあるエリアに目を惹かせる、或いは他のエリアを際立たせる手助けをする。この技法のお陰で、作品を見た人々の注意を、このエリアへ、或いは他のエリアへと誘導する事が出来る。ジオラマの為に車両を作る上では非常に重要と言えるだろう。

ご覧の通り、ウェザリングは塗装面の色見を暗くするので、いくつかの場所は下地の段階で非常に明い色を置いておかなくてはいけない。

緑色の迷彩部分はヘアスプレーを用いる技法を使った。この方法は酷く塗装面が剥落し、痛んだように見える迷彩部分を塗装するのを助けてくれる。迷彩において緑色になっている部分は油彩の青、オーカー、そして茶色による物である。

車体側面装甲板の非常にランダムで不規則な雨垂れ表現に注目して欲しい。ハッチ周りを見れば同じくヘアスプレー技法で作られた非常に小さなチッピングを見る事が出来るだろう。

泥跳ねはAK-Interactiveの製品を幾つか石膏と混ぜ、筆に含ませた物をエアブラシで吹き付けて再現した。この感じを出す為に5~6層程レイヤーを重ねた。

砲塔側面を見ればわかる通り、迷彩の緑の部分には黄色と青の領域がある。これは油彩を置き、溶き油で境界線をボカして作った。これはカラーモジュレーションを助け、非常にカラフルな仕上がりを作品に与える。

例え作品が完成していなくても、チッピングと錆び垂れを塗装した後の作品は素敵に見える。

こちらは日本で仕上げた例だ。こちらも大体12時間程度で仕上げたが、CM自体は実演の前に塗装しておいた。どちらの例も同じ技法で塗装している。車体側面装甲板が軽く泥で汚れている所に注目して欲しい。

CMで塗装した直後との比較。

ところで、カラーモジュレーションとは何なのだろう?それは果して「リアル」なのだろうか?

さて、数年前に私とアダムがCMという技法を生み出して以降、ネット上のフォーラムで、ウェブサイトで、或いは雑誌においてCMについての何万もの意見やコメントを見た。今では皆がこのスタイルについては知っていると思う。ある人達によれば、このスタイルは「ただのアート」であり、またある人達にとってみれば「屑」であり非リアルなスタイルだそうだ。これはファンタジーだと言う人々もいた。勿論中には数々のスマートなコメントもあり、例えば光源処理の概念であるとか、3Dのゲームについてだとか(訳註:CMは3Dモデルのテクスチャの作り方などに近い考えと解釈する事も出来る)、他にも色々だ。個人的には、これらの論争、議論、斗いには関心が無い。何故なら、全世界に対してCMとは何なのか、或いは何故CMという技法が生み出されたのかを説明するのは余りに難儀な物になるし、何より私は「それぞれのモデラーにとってのCM」とは何か、という事には全く興味が無いのだ。ただ一つだけ重要な事は「CMを用いて塗装したモデラーが良い結果に辿りつき、自分の完成した作品で嬉しい、誇らしい気分になる事」、ただそれだけだ。とはいえ、他のモデラーが別のテクニックとスタイルを用いているのを見るのも実に素敵だと思う。それぞれのモデラーは、「自分の」作品を完成させる為に、「自分自信にとっての道具」を持つべきなのだ。ドライブラシを使っても良いし、或いはプレ・シェーディング(訳註:黒立ち上げか? 原文”preshading”)を使っても良い。アクリル塗料だけでも良いし、カラーモジュレーションだけでも良い。重要な事は、我々は模型を、我々の趣味を楽しまなくてはいけないという事だ。世界には争い事やら戦争やらは無数にあって、我々は自分たちの庭にこれ以上のゴミは必要としいてない。我々は家に帰り、くつろぎ、好きな飲み物を開け、作業机の前に座り、趣味を楽しむべきなのだ!今日の私はカラーモジュレーションで塗装をするかもしれない。そして明日の私は他のキットを古典的な手法で塗るのだ

さて、カラーモジュレーションとは「リアリスティック」=「現実的」なのだろうか?

勿論…そんなわけはない!これは飽く迄現実に存在する物に対しての一つの解釈であり、光や、影や、コントラストを表現の方法として用いているだけなのだ。言うなれば「全ての模型製作は紛い物」で現実ではない。ただのプラスチックだ!加えて言えば、我々が戦車に塗る泥だって「偽物」だ。そんな物は塗料と石膏に過ぎない。

「僕の作品は工場で作られた本当の色で塗っているから非常にリアリスティックだ!!!」なんて事を言うモデラーを見た時、僕は非常に愉快な気分になる。

噫、神よ、何て莫迦げた事だろう!彼は本当の戦車に使われている本当の色をプラスチックのパーツに使っている…プラスチック!!!!さて…それの何処に現実味がある?現実味は実物の中にあって、他は只の模造品、コピー、或いはオリジナルのレプリカにすぎない。結局それは他の素材による実物の解釈でしかない。

しかし似たような莫迦げた気分は自分の塗ったチッピングがリアリスティックだと誇るモデラーを見た時にもやって来る。チッピング…ただ塗装されただけの!!!!!!!!!!! 爆笑物だ(訳註:原文だとLOL, laugh out loudly)!という事は、もしそんなモデラーがリアリティを求めるのなら、何故金属でキットを作り、戦車を実際の塗料で塗り、それに乗って街へと繰り出し、道路を渡り、水や、泥や、盆栽の森を巡らないんだろうか?きっとそのモデラーはリアルな泥や、スクラッチを得られる…そうだろう?

親愛なるこのブログを読んでいる君…もし君がこれを読んでいるなら、リアリティなんて忘れて、君の趣味を楽しもう。例え我々がどんなにリアリティを探し求めたって、どこかにいるアマチュ審判(訳註:原文だとnoob judge)が我々に教えてくれるのさ。「この色は間違ってる!」ってね。

さて、色々なモデラー達がカラーモジュレーションをまるで表現の一つとして使った作品の写真を幾つか見せよう。これはほんの一部に過ぎず、今なら山程素敵な作品達を見つけられるだろう!

最後に、自分の為に少し書き残しておきたい。「模型製作とはハリウッド映画のような物」で、私はそれを楽しみたいし、夢の世界を見たい。ただし90か120分だけね。これが楽しい。ただ、もし模型が私を楽しくさせてくれないのなら、例えそれがリアルだろうと、そんな模型は私にとって価値なんて無い。それはただ退屈なだけさ!

敬具

ミグ・ヒメネス

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どうでございましたでしょう?個人的には言って欲しい事全部言ってくれたんで実に満足。静岡で本人が語っていた事とも全く矛盾しておらず、さらに突っ込んだ話がされているのは嬉しい限りそして文章が面白い。いやあ、良いなぁ。ミグ。

さて、繰り返しになりますが

  • 以上の文章に関する全ての権利はMig Jimenez (blog)に帰属します。

じゃあ、今日はここまで。