フィギュアを初めて塗ってみたいという人に何を薦めるべきか

駄文でござる。今回のエントリに関して言えば完全な駄文でござる。それでも良いなら是非読んで頂きたい。最近ちと考えてる事で御座いますので。ただ纏めようと思って書いてる事じゃないので許してね。しっちゃかめっちゃかよ。

ワンフェス前になると割と良く考えるのが、誰かが「フィギュアを塗ってみたい」と言ってきたらどうするのか、という事。現状ヒストリカルフィギュア、或いはミリタリーフィギュアというのは非常にチュートリアル的な、ジャンルの入口たり得る物が少なく、どうにもそこが気に食わない。だからこそ幸運な事に誰かが「フィギュアが塗ってみたい」と言ってきた時に、何を薦めるべきなのか。これをちょっと考えてみたい。

というのも、ワンフェスにおいて大多数を占める所謂美少女フィギュアは、幸運な事にハウツー本等が非常に多く出ているし、製作を細かく解説しているウェブサイトも沢山ある。高品質な作例もウェブで沢山見られる。という事は、目を惹く作例が豊富にあり、かつ「では手を出してみよう」と思った時に、すぐ手を出せる書籍がそれなりにある、というこの二点が、美少女フィギュアの間口を広い物にしているのではないか、と考える。

翻ってヒストリカルフィギュア/ミリタリーフィギュアと言った物はどうだろうか。まず第一に日本語であたれるハウツーが少ない。というか殆ど存在しない。強いて言えば先日発売になったMJ Kim氏の塗装ハツツー本と、吉岡氏の本ぐらいが、真っ当な日本語でのハウツー本なのではないだろうか。過去に紹介したオスプレイの本も、Periscopioの本も、内容としては大変に素晴しいながら、言語が英語という点で一段ハードルが上がる。辛うじて導入になりそうなアーマーモデリング誌の過去のフィギュア特集も今から集めるにはちょいと敷居が高いような気もする。

加えて出来の良い作例が目に触れる機会も少ない、ってのも問題としてあげられるだろうと思う。例えば現行TINAMIで「ヒストリカルフィギュア」を検索すると、該当する作品は僅かに10点。しかもそのうちの7点は手前自信の代物。fgで検索をかけて、何故か引っ掛る関係の無いフィギュアを抜いてザックリ数えても僅か18点。これは如何にも少ない。当然ウェブ上で作品を見られる場所も少ない。

いや、松岡氏の本や平野氏の本が日本語でも存在するじゃないか、という事も言えるだろう。そこには素晴しい作品群があるじゃないか、と主張する事もできるだろう。でも、、例えば平野義高氏の本を例に出すと、フィギュアマイスターと肩書がついて、その上でスゲェ物を見せる、というフォーマットになっている。まぁ作品集だからしょうがないとはいえ、ほぼ意図的にハウツー的なノウハウの共有が本の中から排除されている点が、如何にも「これはフィギュアマイスターだから出来る事です」というような雰囲気を作り出している。それは果して初心者を引き込む事の出来る構成なんだろうか、という疑問を私は持つ。例えばノーマンロックウェルの作品集を見て、俺にもノーマンロックウェルのような作品が描けるようになる、と思える人がどれだけいるのだろう。でもそこにステップバイステップが一緒に付属していたのなら、偶然その本を取った人、或いは明確な意思の元にその本を取った人は、手を動かしてみようという気になるんじゃないだろうか。

対照的なのはマシーネンじゃないだろうか。過去はどうであれ、現在始めてみよう、と思えば、まず作品集がある。世界観を理解し、それ以上に実際の素晴しい作品群を見る事のできる作品集が色々とある。その上で、実際の工作のイロハっを、完結で平易に解説した、モデリングブックという名著がある。この二つこそが、初心者が最初の最初の一歩を踏み出す時に必要な、「布の服」と「ひのきの棒」として動くんじゃないだろうか。

つまり現行のヒストリカルフィギュアやミリタリーフィギュアの世界には、この二つたり得るような物が少い。少すぎるのではないかと思う。別にもっと数があった方が良い、って言ってるわけじゃない。上述の吉岡氏の本なんかは大変に素晴しい。ただ、違う。もっと全般的に、最初にどうするべきか、という本が現状無い。つうか上記オスプレイの本を日本語で出してくれりゃあ良いんだけれど。とにかく最初の一歩を、丁寧過ぎるぐらいに解説した書籍が無い。美術本の鉛筆の硬さによる色の違いとその削り方に相当する本が現状無い。それが大きな問題なのじゃないだろうか。鉛筆の硬度の差についてまず解説すべき所を、非常に良く出来た吉岡氏の本ですら輪郭の取り方から解説しているような感覚を受ける。もっとそれ以前の、本当に基礎の基礎を解説する本が必要なのではないかと考える。

ではそれを踏まえた上で、誰かが、あなたの知り合いの美男美女が、幸運にも、今、そう、たった今、あなたの、或いは手前cutnipperの目を正面から見据え、僅かにはにかみながら、「私/僕もやってみたい」と、そう言い出したとする。模型の基礎的な技術は持っているが決してそれ以上ではない彼/彼女がそう言い出したとする。ではその人々に、第一歩をこのフィギュアの世界に踏み出さんとするこの良き人々に、何を薦め、何を買わせればこの趣味の面白さを伝える事が出来るのか。

その辺りは又明日かその辺りにでも考えてみよう。

じゃあ、今日はここまで。