以前にPentax SPを買った事についてエントリを書きましたが、使っていて矢張りファインダーの暗さが気になることが多くありまして。M42マウントのレンズである為当然マニュアルフォーカスでピントを合わせなければならないのですが、これをするのが暗いファインダーでは実に難しい、というか面倒臭い。
最近のデジタルカメラ、例えばGXRではマウントを噛まして古いレンズを取り付けたとしても、背面液晶が勝手に明るさを調整して表示しますし、手前のデジタル一眼Canon EOS Kiss X2だってファインダーはかなり明るいからアダプタでオールドレンズを取り付けても(ピント自体は合わせ辛いとはいえ)暗いと思うことはない。機能自体は素晴らしいし使い易いPentaxSPですが、今一この点が不満でございました。
そんなわけでネットをぷらぷらしていた所、東ドイツはペンタコン人民公社(VEB Pentacon)製の一眼レフカメラ、Praktica Super-TLにぶつかり、東独という響きに何とも言えない感慨を覚える系共産趣味者としてはいてもたってもいられなくなり、うっかり購入と相成ったわけです。
こちらがPraktica Super-TLの姿。全体的に四角い、ゴツい、塊感が目を引きます。Prakticaは一般的に片仮名ではプラクチカと転写されるそうです。期待した通りファインダーはPentax SPより大分明るく、最近はもっぱらコイツを持って写真を撮りに行っております。くっついているレンズは名門カール・ツァイスの分割された東側、人民公社カール・ツァイス・イェナのFlektogon 35mm/F2.4。東独コンビネーション。胴体右側全面にピョコンと斜めに飛び出しているのがシャッターボタン、そしてその下の黒い真ん丸が露出計のスイッチ。洗練されたPentax SPとは一味も二味も違う、癖の強い見た目が大好きです。
上面。アイピースは先日いつの間にやら外れて落ちて紛失してしまいました。シャッタースピードは1/500までとPentax SP以下であり、快晴の日にボカした写真を撮りたいような時はちょいと辛い事も多いですが、何よりこのガッシリとしたフォルムと、使い易いボディ全面のシャッターボタン、明いファインダーと、何より手の中に東ドイツという存在しなくなった国の遺産が有り、それが21世紀の日本で尚立派に動いている、という点は、酷く満足できる物なのです。
そんな消えた国の遺産のお話でした。
じゃあ、今日はここまで。