さて、エナメル塗料たるハンブロールをメインの塗料にしていると、色々と日本で一般的に行われてる技法に制限がかかったりする言が御座いまして。そのうちの一つはラッカークリアの扱いってもんでございます。というのも、本質的にラッカーシンナーとエナメルシンナーで言うと、ラッカーシンナーの方が強いわけでして。幾ら強靭な塗膜を誇るハンブロールと言えど、あまり宜しくないわけで御座います。その辺りを今回のエントリでは記録。
これはガイアノーツの黒サフの上からハンブロールで塗装し、それが完全硬化した状態でその上からフィニッシャーズのオーツクリアーを吹いた状態で御座います。ご覧の通り塗膜に皺が寄る、という大変珍しい状況が発生しております。というのも、例えばこれがタミヤエナメルであったのなら、ここまで強靭な「膜」を構築できず、恐らく普通にクリアと混ざりこそしない物の綺麗な塗膜を構築するでしょうし、ラッカー塗料であれば矢張り親和性は問題無い為、綺麗な塗膜が構築されるでしょう。手前の知る限り、このように塗膜に皺が寄る現象は、ハンブロールにラッカー系のクリアを何も考えずに吹く事によってのみ発生する代物で御座います。勿論砂吹きをし、十分にクリアを馴染ませた上で吹く等々すればここまでの自体にはなないですし、ある程度は自己修復(としか表現のしようがない)動きを見せてすっかり消える事もあるのですが、まぁそれを期待してどうこう、というのはあまり宜しくないのです。
で、なんでなんだろう、と考えてみれば、要するにハンブロール塗膜の結合力>プラスチックへの食い付きだから発生しているんだろうな、とそういう結論に到達致しまして。何故かと言えば、ご覧の通り、このようになってもハンブロールは塗膜自体をキープしているので御座いまして。例えそれがピュアシンナーと言えど、一旦完全に酸化した塗膜は溶け出すような事はないのでございます。
それを踏まえて考えてみれば、どうして皺が寄るのか、つまりプラスチックの上に「乗っている」ハンブロール膜とプラスチックの間にラッカー系シンナーが潜り込み、引き剥しているからこうなるのだ、とそういう事になるわけで御座いまして。それでも尚ハンブロール塗膜自体はその構造を保つので、必然的に皺が寄る、と。そういう事なんじゃないかな、と思うのです。
そんなわけでちょっとこの現象を上手く活用できないか、又この現象を起こさず上手い事出来ないか、そんな事を考えておる次第で御座います。例えば堅牢さ比類なきマットプライマーグレーの上にハンブロールを重ね、その上から吹いたらどうなるか、等々。疑問は付きず、色々とやってみよう、とそんな気になって参りました。
そうは言ってもオートクリアーの艶ってのは実に硬い艶でありまして、ご覧の通りラッカー塗料の上に吹く分にはなんの苦労もなくテッカテカにしてくれるというメリットがあり、何とも素敵。ちなみに写真のキットはタミヤのバイクキットよりV10チェンタウロ。イタリアの頑固なバイクメーカーモトグッツィの車両で唯一キット化されているそれを、世界で一番格好良いカラースキームだと信じるホンダのビジネスバイクCD90カラーで。これを完成させたらモチベーションが帰ってくるかしら。
じゃあ、今日はここまで。