そういや折角最終面接まで進んだ企業からは所謂お祈りのメールが参りまして、この夏の就活の失敗、言わばNNTが確定気味となって参りました。所詮海外の大学という別の文化にドップリ染まり、かつ成績も優秀とは言えないような人間は日本の社会から不要とされているという認識が己れの脳内に着実に出来上がりつつあります。己の価値の低さを思い知らされるという事の不快さと来たら。
さてそんなともすれば荒縄で輪をつくりサックリ死んでやろうか、なんて考えが冗談より僅かに真剣味を持って目の前を過る日常の中にも、我等モデラーは万難を廃し、正しく乾坤一擲の覚悟で赴かねばならぬ一大イベント、ワンダーフェスティバルはやって来るのでありまして。昨日、7月29日に行って参りました。今回はTwitter上でお世話になっているにく日記氏のお手伝いという扱いで、ディーラーパスで入場させて頂きました。
しかし無い内定がほぼ確定気味であり収入源も無く、しかも大学最後の一年間は目が回る程に忙しかった為、とんと現在のアニメ事情からも距離を置いていた為、前傾姿勢で並み居る競争相手を蹴散らす覚悟を持って購入せねばならぬ、というような物が今回のワンフェスには無く、普段よりもかなり余裕を持って、真に冷静にワンフェスを楽しめたというのは行幸でありましょう。
ただ、今回一つサークル側の立場で参加させて頂いて見えたのは、悪名高きディーラーダッシュ/開幕ダッシュのタチの悪さ。殺伐とした雰囲気でイナゴの如く金目のキットに殺到する姿は滑稽で哀れ、目を背けたくなる程の醜悪な物でありました。かくの如き連中の転売の為の買い占めによって、本当に欲しいモデラーにキットが行き渡らなくなる、という現状には少し憤りを覚えます。机に一寸でも触れれば間違いなく卓に展示されている他ディーラーの商品は倒れるか、最悪壊れるでしょう。そもそも、子供連れのディーラーさんもわりといるあのワンフェスというイベントで、「大人」のあのような行為がどう写るのか、なんて事を考えると無限につ続きそうなので愚痴はこの辺りまでで切り上げて、会場で気になった物をご紹介。
こちらは「造形サークル我道軒」さん製作、PC/家庭用ゲームSteins;Gateより、ノンスケールの牧瀬紅莉栖。我道軒さんではもう一つオカリンとクリスのデフォルメされたセットを購入しました。ご覧あれこのエッヂの立った造形の素晴しさ。勿論厳密に解剖学的な視点で見れば、膝の舌、弁慶の泣き所辺りから足が前傾しているこの姿は全く持って不正確ではあるのだろうけども、この勢い、この雰囲気の前にそんな事を言うのは野暮という物。そもそも設定画やらゲームやらアニメの絵に忠実なフィギュアが欲しけりゃ別にワンフェスまで態々出張って、暑い思いして買う必要も無いわけで。こういう原型師の方の癖が強い物が入手できる事こそがワンフェスの醍醐味でないかと思います。そんな話を我道軒さんにもしたのですが、同意を頂けたのは大変に嬉しい経験でありました。ところでこのパンストの塗装をどうしよう、という点が目下の悩みで御座います。ラッカー系のこの透過感は中々ファレホやハンブロールでは難しいなぁ。
こちらは友人のLosercasehard氏に連れらて行った「muntikin」さんのスプラッター・ガール。ただ立っているだけながらこの雰囲気、佇まいの良さ、スカートの皺や副のプリーツから見える柔らかさの造形、そして足元を飾る素足に革靴というコンビネーション。件のLosercasehard氏の弁を借りるなら、「朝起きて最初にやる事が靴を履く事という日本人からは考えられない習慣のある連中」の証明とも言える革靴の革靴感を始め、凄まじく素敵な造形なのですが、特にスカートの皺は感涙物。非常にレベルの高い塗装技術相俟って、背筋に寒気が奔らんばかりの、独特の雰囲気を持っておりました。それにしてもこの肌色の良さ。我々日本人の肌では絶対にない、皮膚を透かして肉の色が見える薄いピンクの色。この色一つ出すだけで3回塗装しなおしたとの事で、さもありなん。ただしこの色こそ、カナダで散々見てきた白人の肌色だ、と手前は感動したのです。
これは一期一会のハイジンクスさんの、やはりSteins;Gateより、ダイバージェンスメーター製作キット。作中でもニキシー管使用というガジェット感溢れる代物でありましたが、いざ実際に目の前に鎮座ましましている姿を見ると矢張り時代への不釣り合い感に溢れており、即ち真に「異物」なんだなぁ、と作品を思いだしてふとセンチメンタルな気分になったりするのです。ご覧の通り実際には時計になっておりまして、会場でも着実に時を刻んでおりました。このメカニカルな雰囲気は欲しかったなぁ。
スパーロボット天国さん製作、ボルテスV。スーパーロボットのスパーロボットたる理由を、無言ながら千の言葉よりも雄弁にかたるこのポーズ。ポーズ違いというか武器違い?等々で数種類並んでおりました。当然コンバトラーV等も並んでいたのですが、どちらかと言えばコンバトラーVよりボルテスV派の手前としてはこのケレン味溢れる造形にシビれ、地球の夜明けがもう近い事を確信したのです。
女性陣からは軽蔑さるかもしれませんが、究極的に男という奴はサイズの好みこそあれ女性の「胸・尻・ふともも」という三種の神器には抗えないわけで御座いまして、そういう意味でクイーンズブレイドのカトレアというキャラクターは手前のような大艦巨砲主義者にはたまらないキャラクタで御座います。この造形のバインバインん感とラッキーポロリ感は、会場でも大変眩しく思いました。有限会社ビート社製。
「はっぴーベル」さん製作、THE BIG Oより、BIG-O SHOW TIME!! 横に立っているのがfigmaのロジャースミスなので、かなりのサイズ。お値段と軍資金の関係で今回は購入できませんでしたが、見るからにわかる出来の良さは凄まじい物でした。見ているだけで、脳内にどう塗ってやろうか、どう金属感を出してやろうか、というアイディアが浮かぶ程。本当に欲しかったなぁ。
平野耕太のコミック、ドリフターズより、島津中務小輔豊久。平野氏の特徴とも言える、カリッカリに見栄を貼った、ケレン味溢れるポーズを見事に立体化。なんつってもこのレイアウトの見事さよね。ドリフターズという漫画を知っている人ならば、このベースの意味にも気付く筈。こういったわかってる人にはわかる、それでいてちゃんと模型作品においてもベースとしての役割を果たす、こういう小技が本当に嬉しい。「Kinonota Design」さん製作
とりあえず今日はこんな所で。明日辺り続きを書くかもしれません。ちなみにお前のゴタクなんかいらねぇんだ写真を見せろ写真を見せろ!なんて短気なあなた、僕も短気なのでその気持ちは大いに理解できます。というわけでその他の写真は例によって例の如くFlickrに御座います。ご覧下さいませ。
じゃあ、今日はここまで