さて、去る7月25日、恐らく世界最大の同人的立体物即売会たるワンダーフェスティバル2010夏に行ってまいりましたので、そのレポートなんぞを。会場は千葉幕張メッセでございました。基本的に一年のうちの10カ月近くを海外で過ごす手前としては、冬に参加できない以上この夏には全てを脇に寄せてでも行かねばならない、いわば乾坤一擲の行事であります。
早朝5時の始発列車に乗り、会場到着が6時30分前後。列にならんで、10時会場、会場に最終的に入場できたのは10時20分前後でございました。ということで、実質待ち時間は4時間程。並んでいる途中に日陰だった部分が日向に変っていき、大変暑い待機でございました。待機中暑さで立てなくなる人もチラホラあり。スタッフさん達もしょっちゅう体調不良者がいないかの確認をしておりました。
トイレの列がエライ事になっていたりとイベントらしい混乱も色々。毎度イベントに行くたびにスタッフさんたちや警備の方々の努力には頭が下がる思いでございます。実際膨大なマンパワーを集結させる事により成り立っているわけで、縁の下の力持ちの方々はスゲェなぁなどと思ったり思わなかったり。
前回(冬)には行っていない(行けていない)為、何が流行っているのかは今一掴みかねておりましたが、やはりというか予想通りというか、ラブプラス関係は大分目につきました。どれもこれも出来が良く、それでいて原型師の方々独自の解釈が含まれているのが見えて実に素敵。上の二枚はPolygoniaさん(fg/web)製作の、ラブプラス/ラブプラス+より「小早川凛子」。どことなく物憂げな表情と女性らしい華奢、というか細身の体つきの妙に惹かれました。購入。水着のストライプ柄塗装の発色の良さと、塗り分けの緻密さも鮮やか。エアブラシでやってるのかなぁ。
事前チェックではノーマークで、会場で発見し小躍りしながら購入してしまったのがコレ。h-unitさん(web)製作、Valve社Orangebox付属の一人称パズルゲームPortalより、「加重コンパニオンキューブとタレット」。デジタル造形だそうで、パーツのエッジの立ち方なんかは割と感涙物。海外版権の物があるとは思っていなかったので、洋ゲー大好きな私には嬉しい誤算でした。タレットの方も曲線ベースで構築された、無機質な雰囲気が上手く再現されていてとっても素敵。
会場内でも凄まじい存在感を放っていたのが、ウクルグントさん(web)製作の、アニメ伝説巨人イデオンから「ドバ・アジバ」胸像。あまりにアジバ過ぎて脳内でイデが発動しそうになりました。今回最終頒布だったそうで、見かけたときには既に売り切れておりました。古いアニメのキャラクターらしい顎がしっかりしたデザインを、忠実に立体化しているのはお見事。襟の造形なんかも綺麗でした。
手前の大好きな、佐藤大輔の大長編(未完)仮想戦記小説レッドサン・ブラッククロスより、大ドイツ帝国海軍フリードリヒ・デア・グロッセ級戦艦一番艦「フリードリヒ・デア・グロッセ」と、同じく佐藤大輔唯一の完結済み小説である「征途」より、海上自衛隊超大型護衛艦「やまと」を1/700のウォーターラインシリーズスケールで。ペットショップ&フラッグシップさん製(web)。とくに「やまと」は大和の船体に大和の主砲塔という大和の大和たる記号が乗っかっているのに、中央構造物が完全に別物になっている為強烈な違和感が感じられる面白さ。
トーピドーモデルズさん製N-1ロケット。凄まじい出来でした。ソビエトロケットらしい武骨なラインと、骨組みの繊細な部分の対比が面白くありました。ディーラーさんとクラスターロケットの良さについて語っていた所、どうも防衛大学生と思しき三人組の方々が横を通って行ったのを強く記憶しております。
毎年顔を出しているダストモデルズさん(web)の所に、何やら見慣れないが格好の良いロボットがあったのでパチリ。どういうものなのかと伺ったところ、そこにおられたイタリア人のLuca Zampriolo氏が主宰しておられるKallamity(web)というガレージキットメーカーの製品で、Garbaldyと言うそうで。ガンダムのガルバルディシリーズのアレンジっぽいなぁ。Luca氏と少し話をさせて頂いたところ、小林誠氏や横山宏氏、そして日本のアニメ等のメカからの影響を肯定しつつも、それに氏のイタリア人、西洋人としての解釈を加えたデザインを目指しておられるそうで。そう言われると、このガルバルディも西洋甲冑らしくドッシリとしたデザインが良い感じ。それでいて肩のスパイクやシールドといったガンダムのモビルスーツらしい記号も盛り込まれているのはお見事と言えるでしょう。
これも同じくLuca Zampriolo氏デザインで、宇宙戦艦イグアナというそう。スターウォーズのスター・デストロイヤーやスタートレックの艦に繋がるような細部の記号と、半有機的なラインどりはいかにも西洋メカという雰囲気。ガルバルディもイグアナも、かなり注目を浴びておりました。
一枚目の写真向かって右が件のLuca Zampriolo氏。なんでもダストモデルズのPaolo Parente氏とは友達だそうで。イタリア訛りの英語で自分のデザイン哲学などを頑張って説明して下さいました。スゲェ良い人。二枚目の写真に写っているのは、Luca氏と同じくダストブースにいた方で、残念な事に名前を失念。Luca氏と日本人のお客さんとの間で通訳のような事をしておられました。話を伺うと、マシーネン関係では割と大車輪の活躍をなさっている方で、最近のハセガワマシーネンシリーズの箱側面に書かれている英文ストーリーを書いてらっしゃったり、ハセガワのマシーネン用フィギュアセットAに入っているカップを持って直立しているパイロットのモデルになったりしたそうです。というわけでそのフィギュアのポーズをとってらっしゃるわけでございます。曰く「フィギュアは帽子を被ってるから、私の短髪が隠れててちょっと私だと分かりづらいかな。そういえば、横山先生の箱絵は私に全然似てないね。フィギュア自体は本当の私より良い男になってるけどさ」との事でした。
つづく