金髪という物

唐突ではあるのですが、金髪つう髪の毛の色が御座います。或いはブロンドなんて物言いもありますが、読んで字の如くとにかく金色の髪の毛という代物。

で、この金髪という物。日本で言うと大体黄色と言いますか、矢張りアニメのキャラクターなんかでもそうでございますが、とにかく黄色で表現される事が多く御座います。ところがどっこい、コイツをフィギュアの塗装でやってしまうと実に酷い。美少女フィギュアは良いにせよ、コイツを若干リアル寄りのフィギュアにやると何とも浮いた表現になってしまう。これは宜しくない。良くない。で、とりあえずどうやったらいいのよさ、ってのを、手前自身に対する備忘録としてここに残す事としたので御座います。

IMGP4294というわけで取り出だしたるはこの1/20胸像、”Tiger Madchen”。アメリカの共同出資サイト(所謂クラウドファンディング)であるKickstarterにおいて行なわれたプロジェクト、”Modern Pinup Miniatures, Bawidamann Style”にて、プロジェクトの総出資額が一定を上回った際に追加購入できた(USD $200以上の出資者には無料で配布された)フィギュアで御座いまして、このシリーズ自体がAndrew Bawidamannというアーティストのスタイルを3Dプリンダ原型でフィギュアに興し、更にそこからレジンフィギュを作る、という21世紀SF感を内包した存在なのであります。

さて、冒頭の話に戻りますが、金髪は大体黄色。実はこの認識ってのが曲者でして、端的に言えば「必ずしもそうではない」という事になります。いわば金髪というのはカテゴリなわけで、その中には細分化された細かい違いが山ほどあって。例えば白に近いような北欧の、特に子供達に多いプラチナブロンド。例えば灰色がかって濁ったようなアッシュブロンド。或いは遠目にはピンクに見えてしまうピーチブロンド。こんなザックリした区別がある上に、ここに、それぞれの個人差が乗るわけですから、金髪と呼ばれる髪色はとてつもなく広い範囲をカバーしております。個人的には、恐らく黒髪より遥かにバラエティに富んでいるのではないかと考えて、これら全てを引っくるめて金髪と呼んでしまっている事になんとなく黄色を置きたくなる心が潜んでいるのではないか、などと思わざるを得ないのであります。

IMGP4298今回は個人的に赤というかピンク味のあるような、ピーチプロンド寄りの髪の毛にしたいとこそ思い、まずは下地にオレンジブラウン系の色を。ザックリ薄めで構わない。コッテリ塗っても良いし。ただし、どうせこの後ハイライトを入れて行くので、薄めに塗っておいた方が髪の毛の流れが見えて宜しいかも。使ったのはVallejoの131、Orange Brownだったように記憶しているれども、なんとなく机の上の上で手が届く範囲でそれっぽい色、といういつものスタイルで選んだ為記憶があやふや。嗚呼我が身のズボラさよ。

IMGP4301いきなり完成状態に飛ぶ。どうでしょう?かなり金髪感出たんじゃないかと。下地のオレンジ系を完全には隠さないようにハイライトを入れて行くので、必然的にピンク味がかったブロンドの色見になるというわけ。

IMGP4299色の置き方としてはまず髪の房全体(房の間の谷間には色が乗らないように)Vallejo 927 (019) [以下数字は全てファレホの色番号]ダークフレッシュを置いて、927+ゲームカラー72085イエローを混ぜた物で最初のハイライトを入れる。色がかなり赤方面に傾くので、これを適当なミドルストーン系でウォッシングして落ち着ける。

blondeこうする事によって下地のオレンジブラウンの赤味が若干死に、ドギつい感じが若干弱くなる。そこからさらにハイライトを72085+815 Basic Skin Toneで入れ、最後にトップライトを815単色で射すと、かなり簡単に金髪と相成る訳で御座います。ただしこれはどちらかと言うとピーチブロンド寄りの仕上げ。元々ファレホの815はかなり明るいピンクでございまして、その名の通り「白人の基本的な肌色」のような色で御座います。ハイライトをオフホワイトみたいな白で入れちゃうと金髪というより色が抜けちゃってるように見えるので、あえてピンクのこの色を入れております。

IMGP4325そしてスパッと肌の塗装を開始。今回はTwitter上で超絶技巧の原型師辻村氏が公開している手法(まとめ)を可能な限り忠実に模倣しようというコンセプトでスタート。いつものように927を全面に塗るまでは変わらず。ただ、その後赤系統で頬と耳、小鼻に朱を刺して、それを薄めた明るい肌色で覆っていくことで肌の赤味を表現するのが辻村氏の技法の基礎。

IMGP4319果たしてそれで上手くいくのかとエライ心配だったのですが、流石というかなんというか。こんなに自然な色味になるとは思いませんでした。頬と耳に赤味が入るだけでここまで女性らしくなるとは。目元なんかに辻村氏は青味がかった肌色を入れてらっしゃるけれど、取り敢えず私は緑を。楽しい。新しい技法を試すのはいつだって楽しい!

じゃあ、今日はここまで。