[非模型話] Rollei Superpan 200というフィルムが凄い件

フィルム変われば写りが変わる、なんてのは銀塩写真を始めてすぐに学ぶ事でして。色情報が無い筈のモノクロ写真でさえ使うフィルムによって同じ条件でも出て来る写真は千差万別千変万化。ハマれば会心ミスれば落涙、祝杯上げるや自棄酒呷るや (手前はアルコールフリーな男ですが)は正に機材選定+フィルム選定+現像液選定(+印画紙の選定と紙焼き時のアレコレ)というファクターを積み重ねた先にあるわけです。

で、モノクロフィルムといって最初に名前が出てくるのは恐らくKodakのTRI-X。とにかく万能、とにかくモノクロフィルムらしいモノクロフィルムといいますか。減感して良し増感して良しで、やるべしと思い立った事に全て応えてくれるような懐の深いフィルムです。

対照的に国産最後のモノクロ、そして生産が終了しているフジフィルムのAcross 100は、専用の現像液と組み合わせるとそれはそれは微粒子で、ここぞと決めるには良いのでしょうが、余りに滑らかあまりに微粒子で、正直これならデジタルでも良くねえ?と思うのも確か。モノクロフィルム的な粗野な感じが無いんですよねコンチクショウ。

そんな星の数程あるフィルムの中で、最近グッと来ているのがRolleiのSuperpan 200というフィルムで。コレ、元々欧州フィルムの雄Agfaが製造していたAviphot Pan 200のリブランドらしいんですが、実にコイツの具合が宜しい。解像度良し、トーン良し、それでいてモノクロフィルムらしいゴリっとしたシャープ感がある上、感度200と常用には持ってこい。そんなこのフィルムが良いよ、と作例を並べ、出来るなら国内のユーザーの輪を広げたいぞと思うのです。

SDIM8901
新宿駅
Hasselblad 500C/M, Carl Zeiss CF Makro-Planar T* 120/4
Rollei Superpan 200@ISO100, Blazinal (Rodinal) 1:25, 7min

ハッセルが良く写るのは当たり前として、僕はこの一枚に自分で随分シビれたのです。アナログらしい粒子感はありながら、キッチリと揃ったシャープさ。黒はボカンと黒く、でもハイコントラストになりすぎない感じ。Blazinal (Rodinal)で現像したフィルム特有の高いシャープネスを保ちつつ、全体にパンチの効いた画を吐くのがSuperpan 200の特性と言えましょう。

そもそもAviphot Panというフィルムそれ自体が産業用複写あるいは工業用途、または航空写真用に製造されていたものである以上、高解像度微粒子はある意味当たり前とも言えますが、しかし昨今のデジタルカメラを見慣れた目から見てもそのトーンの出方と粒子の揃い方そして解像度のコンビネーションは非常に味わい深いものがあるのではないでしょうか。

SDIM8904
新宿
Hasselblad 500C/M, Carl Zeiss CF Makro-Planar T* 120/4
ジナー三色分解フィルタ赤
Rollei Superpan 200@ISO100, Blazinal (Rodinal) 1:25, 7min

ヤシカ・コンタックス用の同名レンズでも感じましたが、 Carl Zeiss がMakro PalanrまたはS-Planarの名前を与えたらとにかくとにかくよく写る。 当然マクロレンズですからレンズの明るさは控えめだが解像度良し雰囲気良し。 そしてそれに負けないSuperpan. Makro Planar Superpan両者ともかなりパワー系のレンズとフィルムのイメージを持っておりますが 、それにさらにパワーのある現像を行えるBlazinal/Rodinalを組み合わせることでこれはまさにパワーの塊、寧ろパワーの結晶に近いのではないかと思うのです。

どうもSuperpan, 巷では高コントラスト系のドンシャリフィルムと思われている節がありますが、それはおそらく基準感度で使用した際のこと。一段減感して撮影し、Blazinal/Rodinalの一般的な回転現像あるいはPOTAのような軟調現像液を使ってやれば万能フィルムとなります。

モノクロフィルム今まで色々使ってきました。でも何となくですが、特殊なものを除けば一番汎用性があって自分の心に合うのはこのSuperpan 200じゃないかと思い始めてます。長巻仕入れるかなあ。

じゃあ、今日はここまで。