[写真] 無一居 花影S1 60mm F2.2が佳い件

世にソフトレンズってのがありまして。昨今あんまり顧みられる事もないレンズですが、ほらアレですよ。昭和の女優のブロマイド写真みたいな紗がかかったような感じになる奴です。で、手前このソフトレンズ大好きでして。Pentaxというやたらとソフトレンズが好きなメーカーの製品を使っているから、というわけではありませんが、数本ソフトレンズを所有していたりソフトフィルターみたいな物を使ったりしております。

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ソフトレンズによる写真の一例
smc Pentax-F 85mm F2.8 Soft, Pentax K-3II

上の写真を撮ったsmc Pentax-F 85mm F2.8 Softは本当に使い出のあるレンズで、開けてソフトな描写を楽しむのが本筋だとは思うのですが絞り込むとそれはそれはキレッキレな画を吐く時がありまして。

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絞り込んだソフトレンズという不思議な物による描写
smc Pentax-F 85mm F2.8 Soft, Pentax K-3II

絞り込んでも良し、開ければソフト。AFも効くしでとても良いレンズなのですが、現在のペンタのデジタル機ではAEがちゃんと動かないのだけがネガでございます。いうて銀塩機で使えば良いんですけど。

もう手放してしまいましたが、Leitzのズマール (Summar) 50/2も開放だとややソフトレンズ的な描写を見せる時があって。全体が、ってんじゃないんですけどハイライトが滲んだり。何となくテイストが合わなくて手放してしまったけど使い出のあるレンズでした。

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Leitz Summar 50/2, Leica M9

んで、ソフトレンズ。最も有名な物にライツ/Leicaのタンバール Thambar 90/2.2ってのがありまして。それはそれは良い良いと評判は高く、先日ライカが正式に再生産するなど伝説的なレンズなのですが、いかんせん高い。これ一本でニコキャノのフラッグシップが買えちゃうぐらい高い。欲しい。でも手が届かない。

そんな事を考えていたら先日また変なレンズがポロリと生えまして。それがコチラ。

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無一居 花影 S1 60mm F2.2

無一居 花影S1 60mm F2.2。タンバールオマージュの構成だそうですが、焦点距離は90から60mmに随分短かくなっております。ズッシリ重い真鍮ビカビカの鏡胴がイカす。製造自体はKistarとかを作ってる、富岡の流れの木下光学との事。現代のレンズとは思えない程作りは良いです。

所謂個人製造に近い少数生産のレンズで、MS-Opticsとかそういうのに近いポジションかと思われます。作った無一居は2017年ぐらいからウェブが更新されていなくてちょっと悲しい。

で、描写。本物のタンバールを使った事もないので比べられないのですが、これが何とも楽しくて。

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無一居 花影S1 60/2.2, Leica M3 (ELC), Lomo 800

ボヤンボヤン。派手なフレアだけでなく隅では光源が矢印型に。

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無一居 花影S1 60/2.2, Leica M3 (ELC), Lomo 800

中央の解像度は悪くない感じなのに隅がグズグズなので、漫画の集中線を引いたかのような効果が出て面白い。自然と中央に目線が行くと言うか。

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無一居 花影S1 60/2.2, Leica M3 (ELC), Lomo 800

絞り込むと割にカッチリした画も吐く。それでも隅の隅はやや柔いんですけど。

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無一居 花影S1 60/2.2, Leica M3 (ELC), Lomo 800

後輩を撮らせてもらうなど。やっぱりソフトレンズだけあって人撮るのが似合うんですよね。いうて頭を上とかに持ってくると胸に物凄く視線を誘導するような効果になっちゃうのはどうなんだろう、と思うのですけれど。

果たしてタンバールかと言われると、繰り返しになりますが本家を使った事がないのでなんとも言えず。でも物凄く暴れる、それも距離計連動の標準レンズとして見ると、Primoplanとか好きな人にはド嵌りするんじゃないかと思うのです。女の子撮るのに使ってもいいし。

気軽に買え、とは言えないぐらいの難物ですが、興味のあるかたは是非。まだ新品で買えるのかしら?

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M3と組み合わせたルックスは最強級だと思う

じゃあ、今日はここまで。

本家タンバール。金が余って余ってしかたないあなたに。

タンバールを使っていたとのこと