デジタルカメラにフジフイルムのF31fdで触れ、その後Canon Kiss X2をしばらく使用し、K-5→K-3II, SD1 Merill, sd Quattroと使用してきた手前ですが、フイルムカメラもPentax SP -> Praktica -> Praktica B -> Pentax K ->ライカ等々とシフトしてきた事もあり、基本的にブロニカを除き日本光学というメーカーと縁遠い生活を送って参りました。
我等が旭光学を、ペンタックスを疑う物ではありませんが、そうはいっても隣の芝は青く見えたりするもので。日本光学のカメラが使ってみたい、どうせなら天下のニコンF一桁機種が使ってみたい、というかあのLXと同等の性能を持つニコンF3が気になる気になる、と叫びまわっていた所、じゃあ使ってみるがよいよ、と友人がポロりとニコンF3を貸してくれたのです。
ああ威風堂々のこのスタイル。額に輝くNikonの文字。控えめに彫刻されたプロ機の証F一桁。これを見て疑うのはモグリでしょう。重く、固く、だがどこまでも頼れるような雰囲気を醸しだす、正に王道、真に正道。全く憧れるスタイリングです。
で、実際使ってどうなのよ、という所。あくまで旭光学Pentaxのカメラをメインに使ってる人間の独断と偏見に基いた物だという事を考慮して見て頂きたいのですが、ズラズラ並べると以下の通り。
- 重い。フイルム時代小型軽量と言えば旭光学かオリンパスのカメラが通り相場だったとの事で、確かにこの二社が小型軽量を謳ってた理由が実に良く分かる。ずっしり重く、とにかく金属の塊を握っている感じ。頼もしい事は間違いないんだけど。
- エルゴノミクスはとても良い。モードラのグリップ形状とかが本当によく考えられてる。自然に指がかかるスタイル。重さをズッシリと手全体で受け止められるスタイル。流石は報道の日本光学を感じる所。LXのグリップ(B)、形状としては悪くないんだけどこのニコンのモードラのグリップ程は手に馴染む感が無いかなぁという感じ。
- HPファインダはなんというかフツー。倍率がLXのFA-1Wよりやや低いらしく、眼鏡をつけたままでの見えは悪くないしピントの山も見えるんだけLXに軍配が上がるかな、という感触。恐らくF3のファインダも十分に水準以上なのだけれど、どうにもLXの心のそこからピントが合った、と感じられるあの使い勝手は無い。
- モータードライブMD-4の甲高いモーター音は好き好きかしら。嫌いじゃないけど。LX+モードラ使用時の「機構全体が動いてる感じ」のシャッター音に比べてて、甲高いモーター音と引っ張たくようなシャッター音のF3+モードラMD4は「モーターが手綱を握ってる」感じが非常に凄い。ややZ1やその時代の完全自動巻上巻き戻しが達成されたカメラを思い起こさせるような。とにかくLXとは全くの別物。そこに優劣はないけれど。
- ありとあらゆる処のロック機構は痛し痒し。報道用途に使われた頃は意味があったんだろうけど今日の趣味のカメラとしてはやや面倒
- ファインダ内表示は一長一短。眼鏡かけてる人間としては、ファインダ内絞り値表示はF3のが見やすい。逆にLXはほとんど見えないんだな。でもSSがファインダ内左上に小さなデジタル数値で表示されるのはとても見辛い。LXの視界の右端にズラっと列挙してLEDで適正と現露出を示すシステムの方が使い易いと思うなぁ。
全体として見れば好印象なのは間違いない。噫これが報道のニコン、という質実剛健さは旭光学に感じられない部分で、新鮮かつ羨しいところはある。ああ、プロの道具を握ってるぞ、という安心感/信頼感のような。マウントが逆転とか色々戸惑う所はあれどそれは慣れなので、そこに優劣は特に見ない。でも結局最終的な気分でいうと、「超欲しい」から「まあ余裕があれば買うかも」ぐらいまでトーンダウン。なんというか、LX+モードラに対して(少なくとも趣味に使用する程度で)明確にわかる優位性ってものは感じないかなぁ。ニコン、というブランドを剥ぎ取ったらそのスペックと同じくLXと同等なのではないかしら。握って撮って使った時の感動という意味では、初めてCONTAX RTS触った時のが上だったなあ。
あとは撮りきった一本をとっとと現像にかけてみたいところ。はてさてどうなるでしょうか。
じゃあ、今日はここまで。