[書評]Osprey Pub ? Modelling Scale Figures &他

やはりこの季節に雪が降るのはカナダ的にも異常らしい。ここしばらくは毎日雪降っとります。でも体が又慣れてしまったのか2度なら暖かく感じてしまう事もしばしば。これ今年の冬日本に帰ったら半袖ですごせてしまうんじゃないか?

Armoramaより

アルパインの新作フィギュアが発表に。

1/16の現用米兵とソヴィエト戦車兵二種。ソヴィエト戦車兵は原型を担当なさったのが"Sergey Traviansky"氏との事。ちょっとググってみたら、この人って以前取り上げたEvolution Miniaturesの中の人なのね。

塗装見本を見た感じとても雰囲気良さげ。しかも団子鼻っぽいのがかなりツボ。そう、芋っぽい感じのソヴィエト兵の顔してるんだ。加えて防寒着のファーの出来もかなり良さげ。良いなぁ、芋っぽいソビエト兵のフィギュア増えないかなぁ。

閑話休題。

OspreyのModelling Scale Figuresを購入。

最初に結論を言うとコレは"買い"。特に今までフィギュアを塗った事無い人とか、まだフィギュアペインティングを始めたばかりの人。或いはある程度経験がある人が基礎を復習する意味でも良い本だと思う。とにかく初歩の初歩からフィギュアペインティングに必要な物をカバーしているので安心して読める。例えば1/9から1/72までのスケール換算表(インチ/ミリ)が載っていたり、必要な道具のの紹介ではナイフ/ニッパーや瞬間接着剤と言った極々基礎的な道具まで紹介。改めて言われるとあまり文章化されていない"インジェクション"、"レジン"、"メタル"と言ったフィギュアの材質の違いによる全体の傾向、例えばインジェクションの種類の豊富さ、改造の容易さやメタルフィギュアのクオリティの高さ等をキッチリ解説しているなど、全体に"今まで作った事無い人にもわかりやすく"と言った配慮が見えるので読んでいて疲れないし気分が良い。

それぞれ写真に添えられているキャプションも非常に丁寧。ある程度模型を作り慣れている人なら"言われずともわかってるよ"と思う事まで一々説明してある。でも逆に言うなら経験者が言われずともわかっている事というのは、作りなれていない人は言われないとわからない事だから、そういう意味でも初心者の人は読んでいて得る物が多いんじゃないかしら。

工作編では部品のランナーからの切り出しとパーティングラインの消し方に始まり、パテを使ったフィギュアのポーズの変更、そしてフルスクラッチまでを一通りカバー。"メタルフィギュアを作る時は(重いから)足の裏にドリルを打って持ち手にすると良いよ"、なんていう説明が書いてあるあたり気配りが行き届いている。

白眉は塗装編。シンナーについての説明や筆の買い方の説明に始まり、"油絵具での塗装"、"盾の塗装"、"エナメル塗料での塗装"、"タータンチェックの塗装"、"アクリル塗料での塗装"、"馬の塗装"の計6セクションで塗装についてを丁寧に解説。ヒストリカルフィギュアを塗装する際に悩む事が多いであろうタータンチェックの塗装に1セクション割いている辺りの配慮が憎い。タータンチェックの色の境界線にある黒線は0.1mmサインペンで描く、というのは目から鱗。そうか、ペンで描けば良いのか。それ以降のセクションも"騎馬騎士の製作"、"小スケールフィギュアの製作(30mm&1/48)"、”大スケールのフィギュア”と続き読み応え抜群。

全体に渡り掲載されている写真の質が非常に高いため細部のディティールまで良く見えるのは流石Ospreyと言うべきか。でもCalvin Tanの本は写真の色見とか結構ムチャクチャだったしなぁ。それぞれ写真についているキャプションも非常に簡潔かつ的を射ていて、道具の説明なら何故それが必要なのかだとかどの程度の物が必要なのかが説明されているので読む価値十分。巻末には4ページ分のギャラリーが掲載されているのでモチベーションの維持にも役立つし、参考書籍のリストも"読んでみたいな"と思わせる物ばかり。用語集も数は少ないながら厳選されたリストになっている。

とにかくフィギュアを塗装してみたい人塗装し始めた人、そしてフィギュアの製作に行き詰まっている人なんかには特にオススメしたい一冊。初心者にとってはこの先フィギュアペインティングを続ける上で必要となるであろう知識を教えてくれるし、中級者以上の人にとっては基礎の再確認の意味でも手元にあると有り難い本になりそう。少なくとも自分にとっては"エナメルでの塗装"の項は実に興味深かった。とりあえず迷ったなら買うと良いんじゃないかしら。Amazon.co.jpだと2000円しないんだし。

★★★★★(5)

じゃあ、今日はここまで。